フカヒレの姿煮、といえば鮑やなまこの煮込みを並んで高級中華をイメージする料理。あの半月型のフカヒレにとろりとしたスープがかかっている絵が思い浮かびます。
ところで、フカヒレってどんなふうに料理されてあの姿に仕上がるのでしょうか?
フカ?ヒレ?
フカヒレとは、フカ(大型のサメ)のヒレを天日乾燥したものです。サメの品種や部位、戻したときの形状によって種類はいろいろです。
フカヒレに加工される部位は、尾ビレ、背ビレ、胸ビレ。これらを皮つきのまま乾燥させたものが「原ビレ」で、皮をむいた状態で乾燥させたものが「素むき(すむき)」と呼ばれます。
いずれかの方法で天日乾燥させたものをもどして料理に使うわけですが、素むきを戻した場合は、フカヒレの繊維が自然にバラバラになるので、ヒレの形をそのまま残したいわゆる「姿煮」に使うことができません。姿煮には、原ビレからもどすか、冷蔵、冷凍品を使うことになります。
ちなみにWakiyaのフカヒレの姿煮は、原ビレをレストランの厨房で約一週間かけてもどしたものを使っています。
上海料理のフカヒレ、広東料理のフカヒレ
そもそもフカヒレ自体には味があまり無いので、風味豊かなスープや調味料の味をじっくりしみこませることで、さまざまな味わいを生み出すのがフカヒレ料理の魅力です。
フカヒレは戻した時の状態によって二つのタイプに分かれ、ヒレの形をそのまま残した「排翅(パイチィ)」、ヒレの繊維をバラバラにした「散翅(サンチィ)」があります。
大きく分けると、中国四大料理の北京、上海、四川では排翅(姿煮)、広東では散翅(繊維状)に重きが置かれています。
脇屋が修業時代に学んだ上海料理では、フカヒレを煮込んで繊維の奥まで充分にスープをしみこませ、スープの美味しさとフカヒレのゼラチン質の食感のハーモニーを楽しむのが醍醐味。簡単にいうと、トロトロねっとり系ですね。
一方、広東料理では、極上スープのうま味に金糸(散翅の中でも繊維が太く、長く金の糸のよう)の歯ごたえを楽しむもの。こちらは、サラサラつるっと系。
中国料理とひと口にいっても、地域によって素材や味付けがまったく違うのは知られているところですが、フカヒレ料理についても例外ではなく、奥の深い食材であることがお分かりいただけると思います。
コラーゲンたっぷりのフカヒレ
フカヒレのあのトロッとした食感、とろ火でじっくり煮ることでヒレの硬いタンパク質がゼラチン化したものです。タンパク質の一種、美肌効果もあるといわれるコラーゲンがフカヒレにはたっぷり含まれているというのは有名。
他にも骨を形成する栄養素が含まれているコンドロイチン、タンパク質の働きを高めるビタミンB6、動脈硬化を予防してストレスを和らげる働きのあるパントテン酸などなど、いろいろな栄養素が含まれ、栄養素同士がお互いに効果を高め合っています。
「明日はお肌プルプルよ!」とか「何だか元気になってきた!」これは気のせいだけでは無いようです。
脇屋のこだわりが詰まった「フカヒレの上海風姿煮込み」
さて、Wakiyaの名物、フカヒレの上海風煮込み。コラーゲンたっぷり、とろとろに仕上げるキモは戻しの作業。原ビレを大きなボウルに入れて弱火で煮たあと、そのまま冷まし、皮や不純物をペティナイフでとりのぞき、という作業を数日繰り返します。この時の力加減が重要で、無理にこそげると美味しさの決め手となるタンパク質まで落としてしまうのだとか。この作業ができるようになるには、数年の修業が必要だそうです。下ごしらえの最後はフカヒレを入れたバットに上質なスープを張り、せいろに入れて味を含ませる作業。仕込みを始めて一週間、ようやくお客様を迎える準備が調うのです。
注文に合わせて、6時間かけてとったスープで煮込み、少量の醤油とオイスターソース、胡椒で仕上げる紅焼排翅(フカヒレの醤油煮込み)。スープのうま味がしっかりとしみこんで、フカヒレの繊維の食感がありつつ、とろりと仕上げるせめぎ合いが技の見せ所です。
宮城県気仙沼で半年間の天日干し、厨房での一週間の戻し作業、希少なフカヒレを長い時間と手間をかけて仕上げる一品は、やはり高級中華の代名詞にふさわしい料理といえます。その味はぜひ赤坂のWakiyaで。
オンラインストアでもフカヒレの上海風煮込みをご用意しております。
フカヒレの上海風煮込み
Wakiyaの代名詞、フカヒレの上海風煮込みをご家庭でお楽しみください。気仙沼産ヨシキリザメの尾びれを厳選。厨房で丁寧に戻したフカヒレをWakiya自慢の上質なスープでじっくり煮込みました。パッケージのまま湯せんで温めれば、レストランの味をご家庭で再現いただけます。